長野県内の健康増進について
緊急事態です。

長野県が所有する施設の禁煙化
について、これに対抗していこうという
不穏な空気があるようです。

長野県は、日本の47都道府県の中で
初めて県内施設の”建物内禁煙”を打ち出した県として、
有名であり、2004年12月1日からは、日本で初めて”敷地内禁煙”に踏み切った、ということになっています。

しかしながら、その状態が、最近どうも危うくなっているみたいです。以下そのあらましです。

長野県内施設における禁煙のあゆみ
平成15(2003)年 5月15日
「健康増進法」施行
平成15(2003)年 9月 9日
上記の法律を受けて、
タバコによる害のない信州」をめざして
長野県有施設における建物内禁煙開始
平成16(2004)年 5月〜
喫煙率削減計画(各所属ごとに計画の策定およびその進捗状況の確認)、禁煙サポート(禁煙メールマガジンの発行、禁煙補助剤の斡旋)、および、県有施設の敷地内禁煙の試行など

→平成17(2005)年2月までに
  県職員全体で700名が禁煙に
  成功したとのこと。
そして予定では

平成16(2004)年12月 1日

”県有施設の敷地内禁煙の開始予定”
だったのですが・・・・・・・・・・・。
最近の長野県内施設における禁煙
に対しての抵抗勢力との歴史
(詳細については各日付からリンクを貼っています

(全てPDF形式のファイルですので、再生できない場合は
こちらのインストールが必要となります。
”敷地内禁煙”の実施について、
県知事名にて県議会議長あての依頼文書の
提出を行った。
”敷地内禁煙”の実施について、
県知事名にて県議会議長あての依頼文書の
提出を再度行った。
”市町村有施設におけるタバコ対策の推進”に
ついて、県知事名にて市町村長あての依頼文書の提出を行った。
県有施設における敷地内禁煙に対しての
県議会議長から申し入れがあった。
”敷地内禁煙”の実施について、
県知事名にて県議会議長あての依頼文書の
提出を再々度行った。
上記1月7日の依頼文書に対して
県議会議長からの回答が行われた。
”敷地内禁煙”の実施について、
県知事名にて県議会議長あての依頼文書の
提出を再々々度行った。
平成17(2005)年 2月17日 ”敷地内禁煙”の実施について、2月8日に提出した書面への早期回答を県知事名にて再要求を行った。
平成17(2005)年 2月21日 上記2月8日の依頼文書に対して
県議会議長からの回答が行われた。

実際には、こんな感じでやりとりがされています。
(より簡潔にしたものはこちらです。)

平成16(2004)年11月10日
田中長野県知事→古田 芙士長野県議会議長
「長野県では『たばこによる害のない信州』を目指して平成15年9月9日から県有施設における建物内禁煙を実施してきました。

更に平成16年5月からは、県有施設における敷地内禁煙の実施に向け、喫煙率削減計画の策定及びその進捗管理を行うとともに、禁煙サポートも積極的に行ってきました。その結果、県職員全体の喫煙率も減少傾向にあります。

先日行われました県議会正副議長・各党派代表者との懇談会でもご説明申し上げたとおり、既に県有施設においては、積極的な取り組みをこうした準備の上に立ち、段階的に進めてきており、平成16年12月1日からは県有施設における敷地内禁煙を実施の予定です。

県民の皆様が数多く訪れている議会棟においても完全禁煙が励行されますよう、県議会各議員・各会派の皆様のご理解とご協力を改めて強くお願い申し上げます。」

平成16(2004)年11月25日
田中長野県知事→古田長野県議会議長
「『たばこによる害のない信州』を目指し、平成16年12月1日から県有施
設における敷地内禁煙を実施いたします。なお、県民文化会館等、多数の方々が有料でご利用いただく施設につきましては、施設利用者のための喫煙場所を設けることができるものといたします。

これに合わせ、警察本部では、留置施設などを除く警察施設の敷地内において、職員、来訪者を含め完全禁煙とすることを決定し、11月11日に通知を出して準備をはじめております。

既にいくつかの県議会会派の皆様には、率先して議会棟内の禁煙に取り組んでいただいておりますが、県民の皆様が数多く訪れます議会棟においても、更に完全禁煙が励行されますよう、改めて強くお願い申し上げます。

平成16(2004)年12月13日
田中県知事→長野県内の各市町村長
「長野県では、『たばこによる害のない信州』の実現を目指し、平成16年12月1日から
全国に先駆けて、県有施設における敷地内禁煙を実施しております。

今後はこの取り組みの成果を活かし、皆さまの健康を守るための県民運動として、より広く展開してまいりたいと考えております。

既にいくつかの市町村では、建物内禁煙など積極的に取り組んでいただいておりますが、特に、市町村教育委員会及び小中学校長におかれましては、学校敷地内禁煙を含むたばこ対策を講じるよう、『学校における禁煙の在り方検討委員会』から提言をいただいておりますので、次代を担う子ども達が学ぶ県下各地の小中学校におきまして、可及的速やかに、その輪が広がって行きますよう願っているところです。

つきましては、貴職におかれましても、多くの人々が訪れる市町村有施設において、子どもからお年寄りまで、すべての県民の健康を守るために、『たばこによる害のない信州』の実現に向けた対策がより一層推進されますよう、ご理解とご協力をお願い申し上げます。

なお、各保健所では、たばこ対策を支援するための事業を積極的に展開しており、貴市町村における取り組みにつきましても、でき得る限りのサポートをさせていただきますので、是非ご活用くださいますようお願い申し上げます。」

平成16(2004)年12月28日
古田県議会議長→田中県知事
「平成16年10月18日の申入書について、『広く県民に説明し意見を伺い県民の理解とともに、県職員労働組合との合意を得た上で実施すること』と申し入れましたが、その後、県民の合意が得られたとはとても言い難い状況の中で、
平成16年12月1日から敷地内禁煙が一方的に実施されたのは、極めて遺憾であります。

この強行ともいえる敷地内禁煙の実施の結果、周辺公道での職員の暗闇や集団での喫煙など様々な弊害が意見として寄せられています。

県有施設は県民共有の財産であり、県民の理解と合意によりその管理運営がなされるべきあり、県議会では、慎重に検討を重ねた結果、全会派一致による意見として、県民の合意が得られるまでは敷地内禁煙の実施を撤回し、既設の喫煙室の再利用も選択肢に入れた禁煙対策の全面的な見直しを行うことを強く求めます。

平成17(2005)年 1月 7日
田中県知事→古田県議会議長
県議会各議員・各会派の皆様には今まで複数回、ご理解とご協力をお願いしてまいりました。

しかしながら、議会棟においては未だ建物内で喫煙を行っている会派がございます。現在、県有施設の建物内において禁煙が遵守されていないのは議会棟だけであり、極めて残念であります。

こうした中、平成16年12月28日付けで県議会議長からいただきました申し入れは、県において既に実施してきた「建物内禁煙」すら止め、元に戻そうという内容であり、今まで県が段階的に進めてきた取り組みに逆行するもので、到底応じることはできかねます。

また、このことは、「優しさ・確かさ・美しさ」を大切にする環境・観光立県信州のイメージを著しく傷つけることにつながりかねません。

既に県では、子どもからお年寄りまで、すべての県民の健康を守るため、平成16年12月13日付けで市町村長あてにたばこ対策推進へのご理解とご協力をお願いしているところです。また、県警察本部においては県の取り組みにも増して積極的に「敷地内禁煙」に取り組んでいただいているところです。

県民の代表であられる議員の皆様においても、県では以前から取り組んでいる「建物内禁煙」を一日も早く励行していただくとともに、「敷地内禁煙」を含む今後の取り組みスケジュールについても、早急にご提示いただくようお願い申し上げます。」

平成17(2005)年 2月 4日
古田県議会議長→田中県知事
「平成17年1月7日付けで、建物内禁煙の励行とともに敷地内禁煙を含む今後のスケジュールについて早急に提示するよう依頼がありましたが、この内容を検討しても、
一部の会派を除いて、前回回答した内容と変わりなく、一方的に実施された敷地内禁煙の取り組みには賛成できません。

従いまして、現時点では、県民及び県職員労働組合の合意が得られているとは言い難い等により、議会としてスケジュールを作成する予定はありません(つまり、「これまで通り、議会棟ではタバコを自由に吸わせてもらいます」ということ?)。

平成17(2005)年 2月 8日
田中県知事→古田県議会議長
平成17年2月4日付けでご回答をいただきました内容は、平成16年12月28日付けでいただいたご回答の内容と何ら変わりなく、学校や警察施設を含む県有施設において既に取り組んできた「建物内禁煙」すら履行されない内容となっております。

県有施設における『建物内禁煙』については、県職員労働組合とも協議の上、平成15年9月9日から実施してきております。また、平成16年12月1日からの『敷地内禁煙』の実施以降、県内外の皆さまからお手紙やメールなどで、約8割の方が県有施設における「敷地内禁煙」に賛成であるとのご意見が寄せられており、今回の「県民及び県職員労働組合の合意が得られているとは言い難い」とのご指摘は、事実と異なるものと思われます。

繰り返しになりますが、県民の代表であられる議員の皆様におかれましては、県民への説明責任を果たすためにも、一日も早く「建物内禁煙」を励行していただくとともに、「敷地内禁煙」を含む今後の取り組みスケジュールについても、早急にご提示いただくよう改めて強くお願い申し上げます。」

平成17(2005)年 2月17日
田中県知事→古田県議会議長
「『施設内禁煙』について、平成17年2月8日付けで『建物内禁煙』の励行と今後の取り組
みスケジュールのご提示を再度お願い申し上げたところ、未だご回答をいただいておりません。

現在、学校や警察施設を含む全ての県有施設の建物内において禁煙が遵守されていないのは議会棟だけであり、極めて残念であります。また、この理由については、県民への説明責任があると考えております。

つきましては、平成17年2月18日(金)までにご回答下さるようお願い申し上げます。」

平成17(2005)年 2月21日
古田県議会議長→田中県知事
「県議会では以前から
一部会派を除く大多数会派の合意による意見として『県民共有の財産である県有財産は、県民の理解と合意によりその管理運営がされるべきものであり、この度、一方的に実施された敷地内禁煙の取組みには賛成できない。』旨を繰り返し申し上げてきたところであります。

これに対して、2月8日付けの書面では『県内外の方々からの手紙やメールでは約8割の方が「敷地内禁煙」に賛成である』と主張されていますが、少なくとも議員に寄せられる県民の声を聞く限り、県民の8割が「敷地内禁煙」に賛成されているとは到底思えません。

また、これらの意見は『敷地内禁煙の実施以降』に寄せられたとのことでありますが、県有施設の管理運営を県民から委ねられている立場にある県としては、本来、『建物内禁煙』や『敷地内禁煙』を実施する前の段階で県民の多様な意見を伺う必要があったのではないでしょうか。

さらに、県職員労働組合との関係においていえば、いまだ『敷地内禁煙』の実施に関しての合意はされておりません。

議会に対する貴職(=県知事)からの再三再四にわたる依頼は真摯に受け止めてはおりますが、関係者の合意が得られているとは言い難い等の現時点における議会としての意見は2月4日付けで回答した内容のとおりであります(つまり、やっぱり「これまで通り、議会棟ではタバコを自由に吸わせてもらいます」ということ?)。」

以上の経緯をもっと、簡単にいってみると、

田中県知事
「県有施設の『建物内禁煙』で実績を積み上げてきているし、喫煙率削減計画を立てて、実行し、また、禁煙サポートもやってきて着実に県職員の喫煙率も低下してきているので、ここら辺でさらに、県有施設については『敷地内禁煙』にしようとおもっています。そこで、議会棟の中でタバコを吸っていらっしゃる県会議員の方も禁煙に協力していただけないでしょうか。」

古田県議会議長(とそのお仲間)
『敷地内禁煙』なんて一方的で、県民の合意が得られていないじゃないですか。周辺の公道における暗闇や集団での職員の喫煙などの弊害も出ていますよ。県議会全会派の一致の意見ですが、いっそのこと、計画も全面的に見直して、『建物内禁煙』も止めにしたら、どうですか。

田中県知事
「これまで、議員の皆様には何回か説明してきましたが、県有施設の中で、『建物内禁煙』が実施されていないのは、議会棟だけであり、とても残念です。子どもからお年寄りまで、すべての県民の健康を守るため、既に、市町村長向けにも、タバコ対策をお願いしていますし、県警察本部にも県の取り組みに増して、熱心に『敷地内禁煙』に取り組んでいただいています。議員の皆様も考え直してはいただき、『建物内禁煙』を行っていただいた上で、『敷地内禁煙』を行うスケジュールを立ててはいただけないでしょうか」

古田県議会議長(とそのお仲間)
前回、建物内禁煙の励行とともに敷地内禁煙を含む今後のスケジュールについて早急に提示するよう依頼がありましたが、この内容を検討しても、一部の会派を除いては、前回回答した内容と変わりなく、県民や県職員労働組合の合意が無く、一方的に実施された敷地内禁煙の取り組みには賛成できません。従って、議会としては禁煙についてのスケジュールを作成する予定はありません。(これまで通り、議会棟では、タバコは自由に吹かせていただきます。)

田中県知事
「ご回答をいただきました内容は、前回と全く変わらず、『建物内禁煙』すら履行されない内容となっており、とても、承諾できません。
県有施設における『建物内禁煙』については、県職員労働組合とも協議の上で行っておりますし、また、また、平成16年12月1日からの『敷地内禁煙』の実施以降、県内外の皆さまからお手紙やメールなどで、約8割の方が県有施設における『敷地内禁煙』に賛成であるとのご意見が寄せられております。このため、「県民及び県職員労働組合の合意が得られているとは言い難い」とのご指摘は、事実と異なるものと思われます。
改めまして、県民の代表であられる議員の皆様におかれましては、県民への説明責任を果たすためにも、一日も早く「建物内禁煙」を励行していただき、「敷地内禁煙」を含む今後の取り組みスケジュールについても、早急にご提示いただくよう強くお願い申し上げます。」

田中県知事
「『施設内禁煙』について、平成17年2月8日付けで『建物内禁煙』の励行と今後の取り組みスケジュールのご提示を再度お願いしましたが、まだご回答をいただいておりません。
現在、学校や警察施設を含む全ての県有施設の建物内において禁煙が守られていないのは議会棟だけであり、とっても残念です。また、この理由については、県民への説明責任があると考えています。このため、近日中にご回答下さい。」

古田県議会議長(とそのお仲間)
「県議会では以前から一部会派を除く大多数会派の合意による意見として『県有財産は、県民の理解と合意によりその管理運営がされるべきものであるため、一方的に実施された敷地内禁煙の取組みには賛成できない。』旨を繰り返し申し上げてきました。
これに対して、県知事の書面では『県内外の方々からの手紙やメールでは約8割の方が「敷地内禁煙」に賛成である』と主張されていますが、少なくとも議員に寄せられる県民の声を聞く限り、県民の8割が「敷地内禁煙」に賛成されているとは到底思えません。
また、これらの意見は『敷地内禁煙の実施以降』に寄せられたとのことでありますが、県有施設の管理運営を県民から委ねられている立場にある県としては、本来、『建物内禁煙』や『敷地内禁煙』を実施する前の段階で県民の多様な意見を伺う必要があったのではないでしょうか。
さらに、県職員労働組合との関係においていえば、いまだ『敷地内禁煙』の実施に関しての合意はされておりません。
議会に対する県知事からの繰り返しの依頼は真摯に受け止めてますが、関係者の合意が得られているとは言えませんので、議会としての意見は前回回答と変わりません。(つまり、やっぱり「これまで通り、議会棟ではタバコを自由に吸わせてもらいます」ということ?)。

という感じでしょうか。県議会議長の発言にも、「県議会全会派の一致の意見」とあったかと思えば、次には「一部の会派を除いては」とあり、一定していません。

 

 ところで、ここで、公共の場での喫煙を考えるにあたって知っておかなければならない法律があります。
それは、

健康増進法
(けんこうぞうしんほう)

という法律です。

 この健康増進法の第5章第2節”受動喫煙の防止”における第25条には、以下のようなことが書かれています。

「第二十五条
学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、
官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

さらに、この健康増進法第25条には、これを補足するものがあり、その一つが
厚生労働省健康局長からの通達であり、
これによると

【「その他の施設」は、鉄軌道駅、バスターミナル、航空旅客ターミナル、旅客船ターミナル、金融機関、美術館、博物館、社会福祉施設、商店、ホテル、旅館等の宿泊施設、屋外競技場、遊技場、娯楽施設等多数の者が利用する施設を含むものであり、同条の趣旨に鑑み、鉄軌道車両、バス及びタクシー車両、航空機、旅客船などについても「その他の施設」に含むものである。】

とあります。

 ところで、先の健康増進法第25条で管理者が受動喫煙を積極的に防止しなければ、いけない場所として、”官公庁施設”とありましたが、ところで、”官公庁施設”とは、どういうものをいうのでしょうか。

官公庁”を辞書(三省堂「大辞林」)にて調べてみると、以下のようになりました。

「行政庁のこと。
一般には、
国と地方公共団体の役所をいう。

また、”施設”も同様に調べてみると、

「(1)ある目的のために、建造物などをこしらえ設けること。また、その設備。(2)特に、児童福祉施設として設けられる児童厚生施設・養護施設など。

とあります。

つまり、”官公庁施設”とは
「国と地方公共団体の役所の目的のためにこしらえ設けられた設備」のことをいうようです・・・・。

 おやっ。どうも、県庁はもちろんのこと、県議会場も含めた「県有施設」も、この”官公庁施設”なるものにあてはまりそうです。

 先に述べた健康増進法第25条においては、「施設を管理する者」が受動喫煙を防止するための「必要な措置を講ずるように努めなければならない」とありましたが、さて、このような役所の「施設を管理する者」とは、誰のことを指すのでしょうか。これは、難しい問題ですね。たぶん、県知事は県庁などのいわゆる”県有施設”の管理者の1人には、なるんでしょうね。

 先にあげた田中県知事あての文章でも、県議会議長は「県有施設の管理運営を県民から委ねられている立場にある県」といっています。「」というのは、実にあいまいな言葉には思えますが、県庁”あたりを指すのでしょうか。であるとすれば、やはり、県庁のおける最高責任者である県知事は、少なくとも、県有施設の管理者の1人であることは間違いないようです。

 だとすれば、県知事は、”県有施設”において受動喫煙を防止するための必要な措置を講ずるように努めなければならない者の1人であるといえるのではないでしょうか。では、県議会議長はどうなんでしょうか。県議会の議事運営については、その管理者といえるでしょうが、”議会棟”自体の管理者は一体だれになるのでしょうか。たぶん、県知事もその1人にはあたるのでしょうが。

 いずれにしろ、(つまり、管理者が誰であるに関係なく)、県庁や県議会棟を含めた”県有施設”は”官公庁施設”に含まれることは間違いないと思えます。であるならば、健康進法第25条を根拠にすれば、受動喫煙が防止されるべく「必要な措置を講ずるように努めなければならない」場所であるといえます。

 それでは、受動喫煙を防止するにはどんな方法が考えられるでしょうか。考えてみると、以下のようなものが考えられるかと思います。

@非喫煙者は、施設内には立ち入らないようにする。
A施設内に喫煙所を設けて、喫煙者はその中でタバコを吸う。
B施設内でタバコが吸えないようにする(つまり、禁煙)。

このうち、@のやり方だと、確かに非喫煙者に対しての受動喫煙は起こりませんが、非喫煙者の方が大多数である以上、非現実的です。Aのいわゆる”分煙”の方法は、議会の方が主張されている方法のようですが、一つ問題があります。それは、タバコの煙が非喫煙者に全く届かないようにする(つまり、”完全分煙”)ということが、大変に難しいということです。もし、室内に限れば、受動喫煙を完全に防止しようと思えば、喫煙室内を何らかの方法で陰圧にして、その上で、喫煙室内にある空気をタバコの煙と共に室外へダクトや扇風機などを使って、追い出さなければなりません。(この基準の詳細については、先に述べた厚生労働省健康局長からの通達にも書いてあります。また、産業医科大学の大和先生がつくられている「煙の漏れない効果的な空間分煙」というサイトにも詳しい効果的な分煙の仕方がのっています。ちなみに単に空気清浄機をおくだけでは、全く意味がなく、最近では、空気清浄機を販売しているメーカーでもタバコの煙の内、空気清浄機が除去できるのは全体の約3%の塵などの粒子相のみであり、残りの約97%にあたるガス相(一酸化炭素・アンモニア・ダイオキシン・ニコチン(ニコチンがガス相に入ってしまうのは、タバコ会社がわざとアンモニアを加え、タバコ煙をアルカリ性にすることによって、ニコチンの分子を小さく遊離した状態にし、肺や粘膜からの吸収率を高めるようにされているためです(俗に”アンモニア・テクノロジー”と呼ばれています))など)が空気清浄機を素通り状態であることを認めています。→詳細は、タバコと空気清浄機の真実を暴露するホームページを参照)このような完全分煙が可能な喫煙室または喫煙コーナーをすべての県有施設において設けるとしたら、どれだけの金額がかかることでしょうか。先に述べたとおり、非喫煙者の方が大多数なのですから、数の論理からいっても、このような喫煙室の整備にかかる費用に県民の税金を使うのは論外です。また、そんなお金は、オリンピックに多額を費やし、県職員の給料もカットしなければならなくなっている長野県自体に払えるべくもないと思われます。喫煙室の利用を主張される県会議員の先生方が、それぞれのお金を持ち合っていただけるのでしたら、それでもいいのですが。

ちなみに、地方自治法第2条第14項にも

地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。

と記されています。すなわち、「地方自治体は”余計なお金”は使ってはならない」ということでしょう。

 「建物内禁煙」だけなら、県会議員の先生方(あるいは、喫煙される県職員)がすべての費用を負担していただけるのなら、それでも、かまわないでしょう。しかし、施設の範囲を建物だけでなく、その建物が建っている敷地全体と仮定するならば、喫煙室を設けるような方法では受動喫煙を完全に防ぐのは、はっきりいって難しそうです。(たとえば、敷地内に喫煙室を置くとしても、その喫煙室からの排気を行う場所は敷地の外である必要があります。)以上の理由から、Aの完全分煙も現実的にはいろんな問題があります。もっとも、安価で、しかも簡単に受動喫煙を防ぐ方法はBの「建物内禁煙」あるいは「敷地内禁煙」しか、どうもなさそうです。

以上、考えてみると、長野県有施設において健康進法第25条を遵守する方法としては、「建物内禁煙」さらには「敷地内禁煙」が一番適当であるといえるようです。

先にも述べたとおり、県有施設にての受動喫煙を放置するのは、法律違反(ただし、罰則なしの努力規定ではあるのですが)にあたります。もし、以上のようなことを考えに入れずに、単に田中県知事に対抗したいがために、県有施設の「建物内禁煙」または「敷地内禁煙」に反対しているのだとしたら、それは、あまりにも愚かで実に滑稽なことです。なぜなら、県の代表たるべき者が率先して、法律違反を煽動していることになるのですから。

県会議員の先生方もすぐにはタバコをやめられないでしょうから(何と言っても、タバコは肉体的・精神的の両面の依存があります)、まずは、議会棟内での「建物内禁煙」から始めてはどうでしょうか。その方が長野県の健康目標である「健康グレードアップながの21」にも沿った形となるのではないのでしょうか。

もし、無駄にお金を使って、ほとんど役に立たない喫煙室を作っていく方針であるのなら、場合によれば、以下のような住民監査の対象になるのかもしれません。

地方自治法第12条
「日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃を請求する権利を有する。2 日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の事務の監査を請求する権利を有する。」

地方自治法第242条第1項
「普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもつて予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体のこうむつた損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。」

未来を担う子ども達を喫煙による影響からできる限り守るためにも、是非、最終的には、県有施設における「敷地内禁煙」を実施してくださるようお願いします。

2005/02/22 記す
2005/05/09 一部追加